雇用形態に関わらない公正な待遇の確保について

正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差を解消するには「同一労働同一賃金」の導入が重要です。「同一労働同一賃金」の実現に向けて、令和2年4月からは労働者派遣法が施行、令和3年4月からパートタイム・有期雇用労働法が全面施行されています。
同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇の差をなくし、どのような雇用形態を選択しても待遇に納得して働き続けられるようにすることで、多様で柔軟な働き方を「選択できる」ようになります。
これにより企業の労働者定着や、生産性向上、非正規労働者のモチベーション向上など、多くのメリットが期待されます。
なお、令和7年11月21日に厚生労働省から「同一労働同一賃金ガイドライン見直し(案)」が示され、ガイドラインの見直しが予定されています。
同一労働・同一賃金とは?
同一企業内において、正社員と非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者)との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが法律で禁止されています。これが「同一労働同一賃金」です。同一労働同一賃金では、基本給・賞与・各種手当について、それぞれの性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべきであり、不合理な待遇差を設けることが禁止されています。これは賃金だけでなく、教育訓練や福利厚生についても同じです。

出典:厚生労働省 「同一労働同一賃金への対応に向けて」https://www.mhlw.go.jp/content/000824263.pdf
パートタイム・有期雇用労働法
不合理な待遇差の禁止
同一企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されます。
裁判の際に判断基準となる「均衡待遇規定」「均等待遇規定」が法律に整備されました。
均衡待遇(不合理な待遇差の禁止)
待遇ごとにその性質・目的に照らして、
①職務内容、②職務内容・配置の変更範囲(人材活用の仕組み)、③その他の事情のうち、適切と認められる事情を考慮して、不合理な待遇差を禁止
均等待遇(差別的取扱いの禁止)
①職務内容、②職務内容・配置の変更範囲(人材活用の仕組み)が同じ場合は、パートタイム・有期雇用労働者であることを理由とした差別的取り扱いを禁止
労働者に対する待遇に関する説明義務
パートタイム・有期雇用労働者は、「正社員との待遇差の内容や理由」などについて、事業主に説明を求めることができ、事業主は、パートタイム・有期雇用労働者から求めがあった場合は、説明をしなければなりません。
労働者派遣法
労働者派遣法では、派遣労働者の同一労働同一賃金の実現に向け、「派遣先均等・均衡方式」、又は「労使協定法式」のいずれかの待遇決定方式により派遣労働者の公正な待遇を確保することを求めています。
また、派遣労働者の待遇に関する説明義務が強化されています。
派遣先均等・均衡方式
派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇
労使協定方式
派遣元において、労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数代表者と一定の要件を満たす労使協定を締結し、当該協定に基づいて派遣労働者の待遇を決定する方式
派遣労働者の待遇に関する説明義務の強化
派遣元に対し、雇い入れ時・派遣時に次の事項を明示・説明する義務が課されます。
- 労働条件に関する事項の明示(昇給・退職手当・賞与の有無など)
- 【派遣先均等・均衡方式】または【労使協定方式】により不合理な待遇差を解消する旨の説明 など
また、派遣元に対し、派遣労働者の求めに応じて、派遣労働者と比較対象労働者との間の待遇の相違の内容・理由、【派遣先均等・均衡方式】または、【労使協定方式】による待遇決定に当たって考慮した事項などを説明する義務が課されます。
格差解消の進め方(同一労働同一賃金の導入)
同一労働同一賃金の導入 3ステップ
STEP1 情報収集と社内点検
STEP2 就業規則や賃金体系の見直し
STEP3 検証(モチベーションの向上や離職率の低下)
STEP1情報収集と社内点検
情報収集と社内点検は以下の3つが基本です。
- パンフレット・リーフレットで法の中身を知る
- 自社の法遵守の状況を対応チェックツールで確認
https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/shindan2/
- 相談窓口に法律の中身を詳しく聞いてみる
https://www.mhlw.go.jp/content/000177581.pdf
社内点検は以下のポイントを押さえて確認してみましょう。

出典:厚生労働省同一労働同一賃金の実現に向けてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html
STEP2 就業規則や賃金体系の見直し
厚生労働省では事業主へ以下の支援を行っています。
・千葉働き方改革推進支援センター(https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/consultation/chiba/)
非正規雇用労働者の待遇改善などの働き方改革に取り組みたい中小企業・小規模事業者の方々に対する社労士等の労務管理の専門家による無料の相談支援(事業所訪問、窓口相談や電話・メール等での相談対応)や、働き方改革に関する事業主向けセミナーを実施
・キャリアアップ助成金(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html)
非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成金の支給
・職務分析・職務評価の導入支援(https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/estimation/)
パートタイム労働者・有期雇用労働者と正社員との基本給に関する均等・均衡待遇の現状を確認し、等級制度・賃金制度を見直す際の一助となる
また、千葉県では千葉県内で事業を営む中小企業様を対象に社会保険労務士・中小企業診断士・経営コンサルタント等の「働き方改革アドバイザー」を派遣し、各企業にあった働き方改革の取組みを無料で支援しています。(定員に達し次第、受付終了します。)
・千葉県働き方改革ポータルサイト(https://chiba-hatarakikata.com/)
STEP3検証(モチベーションの向上や離職率の低下)
従業員のモチベーションがどう変わったのか、離職率に変化はあったのか、自社の変化に目を向けてみましょう。
待遇差解消のメリット
企業側のメリット
・人材定着と採用力向上
処遇が公平になることで離職率が低下し、不当な格差を放置しないことで、求職者から選ばれる企業となり、優秀な人材を確保しやすくなります。
・生産性とパフォーマンスの向上
従業員のモチベーション向上やスキルアップにより、組織全体の生産性やパフォーマンスが向上します。
・人材不足の解消
魅力的な職場環境は、人手不足の解消にもつながります。
・企業イメージの向上
透明性や公正性が高まることで、社内外からの企業イメージも向上します。
労働者側のメリット
・モチベーションとエンゲージメントの向上
待遇差が是正されることで、仕事への意欲や満足度、企業への貢献意欲が高まります。
・キャリアアップの機会拡大
正社員と同じように教育や研修を受ける機会が得られるようになり、スキルアップやキャリア形成が可能になります。
・多様な働き方の実現
ライフスタイルに合わせた働き方(出産、育児、介護など)を選択しやすくなり、ワークライフバランスを保ちやすくなります。
・待遇の改善
賃金だけでなく、福利厚生などの待遇も改善されることで、生活環境が向上します。
定期的に自社の状況を点検し、格差解消に継続的に取り組みましょう。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html
https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/douitsu/
参考資料 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000824262.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/001508009.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/000497032.pdf




