フレックスタイム制の見直しとはどのようなものですか?

働き方改革関連法案の中にフレックスタイム制の見直しが含まれるという報道を目にしました。
具体的にどのような見直しが行われているのかを教えてください。

フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が⽇々の始業・終業時刻、労働時間を⾃ら決めることのできる制度です。労働者は仕事と⽣活の調和を図りながら効率的に働くことができます。
今回働き方改革関連法案の整備により、従来のフレックスタイム制に以下の修正が入ることとなりました。

1.フレックスタイム制の清算期間の上限を3か月に延⻑
これまでは、1か月以内の清算期間における実労働時間が、あらかじめ定めた総労働時間を超過した場合には、超過した時間について割増賃金を支払う必要がありました。
一方で実労働時間が総労働時間に達しない場合には、
A.欠勤扱いとなり賃金が控除される
B.仕事を早く終わらせることができる場合でも、欠勤扱いとならないようにするため総労働時間に達するまでは労働する
といった状況もありました。
清算期間を延長することによって、2か月、3か月といった期間の総労働時間の範囲内で、労働者の都合に応じた労働時間の調整が可能となります。

2.清算期間が1か月を超える場合でも、繁忙月に偏った労働時間とすることはできません。
清算期間が1か月を超える場合には、
(ⅰ)清算期間における総労働時間が法定労働時間の総枠を超えないこと
  (=清算期間全体の労働時間が、週平均40時間を超えないこと)
(ⅱ)1か月ごとの労働時間が、週平均50時間を超えないことの両方を満たさなければならず、いずれかを超えた時間は時間外労働となります。
このため、月によって繁閑差が大きい場合にも、繁忙月に過度に偏った労働時間とすることはできません。

3.清算期間が1か月を超える場合には、労使協定の届出が必要
清算期間が1か月を超えるフレックスタイム制の導入には、以下3点の対応が必要となります。
<従来の規定>
(ⅰ)就業規則等への規定
(ⅱ)労使協定で所定の事項を定めること
<今回追加となる規定>
(ⅲ)労使協定を所轄労働基準監督署長に届出

清算期間が1か月を超える場合には、労使協定を所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があり、これに違反すると罰則(30万円以下の罰金)が科せられることがあります。
清算期間が1か月以内の場合には届出は不要です。

厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」より
https://www.mhlw.go.jp/content/000476042.pdf

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