株式会社アールアンドアール
代表者:執行役員総務部長 矢澤 大輔 様
従業員数:200名
事業内容:サービス業(建築・土木機械器具等レンタル)
法に対応するだけでなく、先見性を持った取組を
移り変わりの激しい多様性の時代だからこそ、改革は速度を緩めず、先を見据えて実行
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担当者からのメッセージ
こうした大改革を行うと、担当者は本当に大変な思いをすると思いますが、成果は必ず数字にでも出ますし、従業員からもその頑張りには温かい声が掛けられ、社内は良い雰囲気になっていきます。本気で従業員のことを考えているということが伝わることが重要。そのためには丁寧な対応や説明が不可欠だと思います。
取組の目的やきっかけは?
時代の変化に伴って女性従業員が増加しています。働き方については以前よりさまざまな取組を行い、 働き方改革関連法の改正などにも対応してきていましたが、実際にその内容が正しくできているかどうかの検証の必要性を感じていました。
もともと育児休業の制度確立などには取り組んできましたが、せっかくならば、国の“くるみん認定“を取得し、当社へ入社を考える方などにも広く知っていただこうということになりました。そのためには専門家のアドバイスが必要だということで、県のアドバイザー派遣を受け、くるみん取得のための具体的な進め方や数値目標の設定、会社としての取得方法等について助言してもらいました。結果、2021年に“くるみん認定”取得に至りました。
また、当社は一時期、退職者が多かったこともあり、待遇面の見直しを行うべく、3年前に社内改革で総務部を一新しています。 担当者の努力もあって様々な取組を行い、退職者は大幅に減少しました。こうした取組を推進し、総務部の業務効率化や運営体制の見直しを行い、更なる定着率の向上に取り組みたいという思いもありました。
どのような取組を行ったか?
まずは従業員満足度を図るため、従業員を対象とした待遇・仕事の裁量・人間関係など全62件のアンケート形式によるサーベイを実施し、何をすべきかが明確なものとなりました。 2021年10月から「組織改善サーベイシステム」(従業員のメンタル・フィジカル・エンゲージメント調査)を導入し、現在も毎月1回調査を実施しています。
具体的な取組として、勤怠システムのバージョンアップを行いました。年次有給休暇の取得状況、所定外労働の現状把握が容易に可能となり、改善につながっています。育児休業や介護休業についても、法改正に対応した規程の改定を行い、全員に周知し、所属長向けの勉 強会を実施するなど、理解度を深めるための努力もしています。
また、総務部門では年末調整をはじめ、労働社会保険諸法令に基づく各種申請書類などのペーパーレス化を推進しました。現状の書類の洗い出し、法的保存期間の確認と社内でのルール化や周知を行いながら、優先順位を決めて取組を進めてきました。 現在では100%ペーパーレスを実現し、業務効率が大きく上がりました。
コロナ禍ということもあり、時差出勤や在宅勤務などの導入もしています。本人は元気でも出社することが難しいという状況が発生する昨今です。社内ではデスクトップパソコンを一人一台使用していますが、自宅で仕事をする場合にはノートパソコンを貸与し、持ち帰って仕事ができるように体制を整えています。
このほか、社命での転勤者には家族も含めて帰省旅費を年に2回 単身赴任者には月に2回支給、社宅・寮の借上げ条件を改善したりするなど、全国各地に営業所がある当社ならではの待遇改善も実施。年間5日間取得可能な子どもの看護休暇、若年層及び定年後再雇用時の年収引き上げなど、人財定着や確保のための改正も積極的に行いました。
支援の成果と社内の反響
当初は大きな改革を前にして、担当者も頭を悩ませていましたし、従業員の中には様々な変化に対して抵抗感を持つ人もいたかもしれません。しかし、まずは担当者がしっかりと勉強し、丁寧に説明をして進めていくことで従業員からは「大変だっただろうけど、職場がすごく良くなった。ありがとう。」と声をかけてもらえるようになりました。小さなことではありますが、それが励みになってさらに推進していくことができたと思います。
また、これまでの退職金制度を廃止し、DC (確定拠出年金) 制度を導入しましたが、これについても、まずは担当者が内容を正しく理解しなければ従業員に説明することができません。学んだ上で全国の営業所を回り、時間をかけて説明したことが、理解につながったようです。
変革のためには、他部署や営業所の協力や連携、こまめなコミュニケーションなどが必要不可欠です。そのためには会社を良くしようという真摯な思いと行動が大切だと実感しました。そして、実際に退職者の減少や、定年後の再雇用率100%という数字が、何よりその成果として現れていると思います。
今後の取組や課題は?
この3年間で、 必要な改革は概ね実施することができたと考えています。法改正などは今後も続いていくものですし、その都度柔軟に対応していかなければなりません。ただ、法改正に合わせていくだけでは会社としての発展は望めないようにも思います。そのさらに一歩先を考えて、先見性を持って独自の取組を行っていくことが重要ではないでしょうか。
現在当社は18歳から67歳までの従業員がいます。それぞれが違った立場で、それぞれのライフスタイルで仕事をしているわけですから、画一的な取組だけでは満足度はあがらないでしょう。仕事にやりがいがあることはもちろん、「この会社で働き続けたい」という気持ちになってもらえるような改革を、速度を緩めずに行っていきたいと思っています。
また、業務面としては、ITを活用したDXなどにより業務の工数を削減し、生産性の向上を目指していく所存です。