清水鋼鐵株式会社
代表者:取締役管理部長 織田 好 様
従業員数:235名
事業内容:製造業
ハラスメントを生まない職場作りへ
職場環境に合わせた独自の研修を実施し、従業員同士の理解と信頼を深めて風通しの良い職場へ
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取組内容 |
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成果 |
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担当者からのメッセージ
当社の場合は業務の性質上、危険回避のため大きな声を出して強い言葉を使う機会があることなどから、パワハラに焦点を当て、まずは取組を始めました。具体例を挙げながら研修を行うことで、従業員の理解が深まったと考えます。一般論や画一的な取組ではなく、環境に合わせて考えることが重要ではないでしょうか。
取組の目的やきっかけは?
従来から男性の職場というイメージが強い製造業ですが、当社は人数こそ少ないながらも女性の登用を行い、様々な面で活躍してもらっています。2代目社長が女性だったということもあり、性別にとらわれない社風があったと思います。こうした中、女性活躍推進法の改正に伴い、2022年度に一般事業主行動計画を策定しました。また、パワハラ防止法の制定なども受け、「働きやすい職場環境づくり」に注力すべきだと考え、様々な取組を始めました。
3年ほど前に管理部門を見直し、人事課を創設したのもそうした方向性に伴うものです。 人事課には男女3名の経験者を採用し、新人事制の構築や社内研修の実施など、様々な改革を行っています。
2017年にASK (「明日の清水を考える」の頭文字)という若手メンパー中心のチームを発足し、社会、会社、職場にとって有益な実現可能なテーマを提案してもらい、社内で優先順位をつけ実現して参りました。もともと柔軟な姿勢で会社のこれからを考えていこうという気風がありましたが、中でもパワーハラスメントは、少々荒っぽい現場のイメージがある製造業としては、特に注意しなければならない事柄として、専門家のアドバイスが必要と考え、県の働き方改革アドバイザー派遣を利用することにしました。
どのような取り組みを行ったか?
支援を活用する上で、「パワーハラスメント対策をきっかけにしたよりよい職場づくり」を主なテーマに掲げました。社内にはこれまでハラスメント相談窓口があり、何かあったら誰でも相談できるという環境を作っていたのですが、実際に活用されることはあまりありませんでした。現状として、窓口が機能していないのではないかと感じ、まずは社内でハラスメントに関するアンケートを実施しました。その結果、やはり従業員が相談しにくい状態であったことがわかりました。
こうした状況を受けて、まずは人事課を中心としてハラスメントについてーから学びました。その後、研修資料などを独自に作成し、社会保険労務士のアドバイスを受け、研修を実施するに至りました。ハラスメントの根底にはコミュニケーション不足があると考え、日頃の意思疎通の重要性を伝えました。従業員のほとんどが車通勤で、業務終了後は即帰宅となることが多く、コミュニケーション不足の要因の一つと考えております。このため、意識的に話のできる場を作る努力が必要と考え、普段部署が違う従業員同士が一緒に研修を受けてグループワークを行うという学習機会を設け、ハラスメント予防意識を向上させる取組を行っています。
支援の成果と社内の反響
製造業は危険が伴う場面もあり、危険回避のため、 とっさに大声を出して指導することがあるのも事実です。しかし、そのような後には、何が危険な行為で、どう行動すればよかったのかを説明し、フォローすることが重要だと研修で伝えました。フォローを通じてコミュニケーションを取ることで、お互いの理解が深まり、その場合、これはハラスメントではなく、危険回避のための指導だということで、お互いの信頼関係もできることになります。
研修では講義を聞くだけでなく、実例の話がハラスメントか否かを考えるクイズにグループで取り組むなど、 “自分事として捉えられる”工夫を凝らしたことで、理解度を深めることができたと思います。当社は北海道苫小牧市と栃木県宇都宮市にも事業所がありますが、担当者は現地に赴いて研修などを実施しています。従業員からは「パワハラと指導の違いがわかった」「今度はセクハラやマタハラについても学びたい」「会社に相談しやすくなった」などの声が聞かれるようになりました。
ほかにも、55歳と59歳のタイミングでライフプラン研修に参加してもらい、老後の生活設計を考える機会の提供や人材活用の一環として、定年制度の見直しなど新たな制度の創設も計画しています。
今後の取組や課題は?
コロナ禍ということもあり、従業員同士の関係性が希薄になっているように見受けられるため、お互いの理解を深めたり、信頼を構築するため、レクリエーションなどの企画も考えていきたいと思っています。また、ハラスメントについては、第三者による相談窓口設置を検討しています。これについては利害関係のない専門家に相談できるというメリット、守秘義務を理由に会社に相談内容が伝わらないなどのデメリットも含めて、より良い取組ができる方法を模索しています。
全体を通して、意思疎通が何よりも重要なファクターであり、半年ごとに上司との個人面談を必ず実施し、それぞれの考えを言いやすい、風通しの良い社内の雰囲気づくりも進めていく必要があると考えています。