山崎産業株式会社
代表者:副社長 北尾 義嗣 様
従業員数:38名
事業内容:製造業(生産用機械・器具・製造業用設備)
顧客と従業員の満足度を上げる効率化
難しい取組でも、時間をかけて定着させていくことで、それは自社の文化になる。
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担当者からのメッセージ
テレワークの取り入れ方については、業務の内容、会社の規模、社風などによってやり方は違うでしょう。これが正解という決まりはないので、何がフィットするか試しながら調整、カスタムしていく過程が必要だと感じます。
そして作った仕組みを浸透させていくことがとても重要です。説明会を開くなどして、皆の理解を得なければ実際に運用することはできません。我が社では構想着手から具体的導入を経て、定着までに2~3年程の時間がかかりました。
しかしそうやって出来上がった仕組みはしっかりと根づき、最終的には、自社の文化になります。やらずに考えているよりも、まず取り組んでみることで、新しい局面が見えてくるのではないでしょうか。
取組の目的やきっかけは?
B to Bで、業務用のプリンターなどを製造販売する業務の特性上、我が社の顧客は全国に広がっています。必然的に打ち合わせなどで現地へ赴くことも多く、移動の距離やそれにかかる時間が業務の中で負担となっていました。以前からこうした効率の悪さをテレワークで改善したいと考えていましたが、実際には社内はもちろん、取引先との連携なども必要となるため、なかなか軌道に乗せることはできませんでした。
そんな中、コロナ禍でテレワークが各企業で導入されたことが追い風となり、本格的にシステムを整え、円滑に運用したいと思ったのが今回の取組のきっかけです。
従業員の中には、「対面のほうがやりやすい」「出社したほうがやる気が出る」という声があったのも事実です。しかし一方で、「家族が体調不良の場合など、在宅で仕事ができれば周りに迷惑をかけなくてすむ」という声もあったことから、生産性の向上を見据えた上で、令和2年度にアドバイザーを派遣してもらい、日常的に活用できるテレワークシステムの構築に着手しました。
どのような取り組みを行ったか?
最初に行ったのは業務の棚卸しです。テレワークが可能なものと、不可能なものを仕分けし、仕事を整理しました。
長年業務を行っていると、いつの間にかグレーゾーンの仕事が発生し、どの部署がやるべきことなのか、誰が担当となっているのかといったミッションが明確になっておらず、なんとなく複数の部署が少しずつ負担して成立している状態でした。
これは決して悪いことではないのですが、テレワークを導入するためには、あまりにも曖昧なものは、はっきりさせなければいけません。最初は戸惑う声もありましたが、実際には仕事を整理したことで、担当者としての責任の所在を自覚することができるようになったので、結果としてやって良かった取組でした。
内勤や技術職の従業員においては、デスクトップだけでなくノートパソコンも導入。自宅に持ち帰り可能としたほか、VPNについても利用人数の上限を見直して、利用できる人数を増やしました。
社内では基本的にLINE WORKS、Chatwork を、顧客用にはZoom やTeams を利用可能とし、全国の営業先とウェブ会議を行うようにしています。これらツールについては、誰もが同じように使えなければ導入の意味がありません。わからない人にもきちんと理解してもらえるよう、得意な従業員が説明会を催すなど、浸透させるための取組も行っています。
支援の成果と社内の反響
当初はテレワークに不慣れな部分もありましたが、実践で使っていくことで効率化も進み、アフターコロナとなった現在では、出社とテレワークを併用する形がスタンダードとなりました。急な事情でも申請すれば在宅勤務は可能で、子育て中の従業員などにはとても好評です。
もちろん、世代やライフスタイルによって事情は様々ですので、時代の流れやその時の家族の状況などに合わせて、上手く活用してもらいたいと思っています。
テレワークでは勤怠管理が課題となる場合もありますが、我が社の場合は仕事ぶりを監視するつもりはありません。基本的にやるべき仕事がきちんとできているかどうかが重要であり、結果が伴っていれば問題ありません。もちろん個人差というのはあると思いますが、多様な人が多様な働き方をして良い世の中だと思っています。こうした従来からの社風も従業員には理解されており、その結果としてテレワーク導入に成功しているという側面があるかもしれません。
また、全国に広がる取引先との打ち合わせなどもウェブ会議で対応が可能となったことで、問い合わせ対応へのスピード感は格段に増し、同時に従業員の勤務時間が減るという状況にあります。
情報の共有なども、円滑に行うことができるようになり、顧客満足度はもちろん、従業員満足度も上がっていると感じています。
今後の取組や課題は?
従業員の働き方を変える上で重要なのは、人事評価制度の構築ではないでしょうか。働き方が異なる従業員を平等に評価するためには、専門家の存在が必要となるので、今後はこうした部分についても強化していきたいと思います。
そしてもっとも重要なのは人材育成。若い人が入りたいと思える会社にするためには、やはり入社後の人材育成が鍵です。面談などもきちんと行い、何がしたいのか、をしっかりと聞き取り、スキルアップへの投資なども惜しまず行っていく予定です。働きやすく、やりたいことができる、向上心を持って業務に邁進できることは、定着率などにもつながっていくと思います。
仕事を通して真摯に従業員と向き合い、これからも様々な改革を積極的に行っていくつもりです。