芳源マッシュルーム株式会社
代表者:代表取締役 菅佐原 芳夫 様
従業員数:300名(正社員120名、パート社員180名)
事業内容:農業・林業(農業)
働きやすい環境づくりで、業務拡大を目指す
国内シェアNo.1 のマッシュルームの生産を支える「人」をサポートするのは会社の責務。
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担当者からのメッセージ
機械化などを進めていても、やはりいちばん大切なのは働く「人」の存在です。マッシュルームの国内生産量は以前よりも減っていますが、心を込めて「良いもの」を作っていくことで、まだまだ成長していくことができると感じています。
従業員が楽しくやりがいを持って働ける職場づくりを常に考え続けていくことで、会社も人も良い状態でいられるのではないでしょうか。
取組の目的やきっかけは?
先代が1967年に缶詰用としてマッシュルーム栽培を開始し、その後1987年に法人化。マッシュルーム栽培を行って50年を超え、国内シェア1位という状況にありますが、常に会社を支えてきてくれたのはマンパワーだと思っています。特にパートで働いてくれている多くの女性の存在は大きく、その力なくしては会社の成長はありませんでした。こうした状況から、女性が働きやすい環境を整えることには会社設立当初から力を入れており、トイレや休憩所の整備などには力を入れてきました。
また、業務を拡大していく中で残業時間の増加などもあり、パート従業員にとっては対応が難しい状況も過去にはありました。この解決のために、2010年頃、大規模な機械化を実施。会社としては大きなターニングポイントとなっています。
これまで各人のライフスタイルに合わせた働き方ができるよう、様々な取組を行ってきましたが、長年勤めている技術も知識もあるベテランパートの方と、これから学ぶ段階にある新人の正社員の待遇に不公平感がないだろうか、と疑問を持ったのが、今回の見直しのきっかけです。同一労働同一賃金について、法令は遵守していましたが、こうした見直しは必要不可欠だと感じ、着手した次第です。
どのような取り組みを行ったか?
職務内容と責任、労働時間の考え方など、まずは基本的なことをアドバイザーから聞き、自社の実態を把握するところから始めました。長年積み重ね、変更などを行ってきたルールや基準なので、改めて整理を行うことで客観的に組織を見直すことができたと思います。
同一労働同一賃金への取組として、まずは通勤手当や家族手当、その他様々な手当についてパート従業員と社員の支給基準を確認。その上で、どのように変更したらよいのか、アドバイザーの意見を聞きながら支給基準の改定を行いました。非常に細かい内容ですが、パート従業員にとってはとても大切なことです。
業務の性質上、10年以上勤務しているパート従業員も多く、現場では新人社員よりもベテランパートの方が対応方法などをよくわかっているという状況が発生しがちです。こうした状況についても不公平感が発生しないよう、業務内容や待遇の違いの根拠を整理し、貢献に応じた評価や長期的な視点での成長につながる仕組みを整備。特に社員については、責任のあり方などを明確にし、それを向上心や成長意欲につなげていけるように促しています。
実はマッシュルームは、他のキノコに比べてデリケートで栽培が難しい作物。この技術を修得し、無農薬で良いものを作り、お客様に「おいしい」と喜んでいただくことで得られた「国内シェアNo.1」という評価ですので、そうした業務を担い、技術を持っている自分自身に誇りと自信を持ってもらいたいとも思っています。
良いものを作るという基本の考えに加え、それに対して正当な評価を得られることでモチベーションをアップ。今回の取組は、そうしたことにもつながっていると考えています。
支援の成果と社内の反響
会社の方針として、「皆が楽しく働ける環境」を実現したいという思いがあります。海外からの実習生もいますが、そうした雇用形態の違いに関係なく、満足度の高い職場でありたいという会社側の考えを従業員たちに伝えることで、風通しの良い職場となるのではないでしょうか。
産休育休などで職場を離れることになっても、また戻ってきてくれる従業員や、引っ越しなどで通勤時間が伸びても「働き続けたい」と言って通ってくれる従業員もいます。不公平感のない待遇、時代にマッチした働きやすさの追求など、多方面から取り組むことで、定着率も上がっていくと考えています。
評価制度などについては、取り組み始めたばかりですので、従業員が変化を実感するのには時間がかかると思いますが、成果はこれから徐々に出てくると思います。
今後の取組や課題は?
今後、業務拡大計画もあり、マネジメント層の育成が急務です。役職をつけるなど、モチベーションアップのための組織改革も行っていく必要があります。新卒採用では大卒の採用なども視野に入れ、組織としてのあり方や役割分担なども考えていく段階に入っていると思います。
また、そうした人材を育成するために、収穫・出荷作業の経験はもちろん、リーダーへのキャリアアップに向けた環境整備なども行っていく予定です。
かつては屋外の厳しい環境での作業も多く、辛い仕事というイメージの強い業種でしたが、現在は機械化も進み、そのようなことはありません。無農薬栽培を徹底しているのも、食品への影響はもちろんのこと、働く人の身体への影響を考えてのことです。これからも、そうした「人」を第一にする考え方で時代に合った働き方を模索していく所存です。