学校法人一色学園鎌ヶ谷みどり幼稚園

代表者:園長 一色 睦子 様 
従業員数:28名
事業内容:教育・学習支援業

子育て中も働き続けられる環境をつくりたい

背景
  • 保育業界は人材不足が深刻。慢性的な人手不足で悩んでいた。
  • 子育てを理由に辞めてしまう教職員が多いので、子育て中も仕事を続けられる職場にしたい。
取組内容
  • 子どもが理由で急に休まざるを得なかった教職員がオンラインで会議に参加できるようにした。
  • 子育て中で出勤できない教職員は、在宅でお便りづくりや教材づくりなどの作業を行ってもらう仕組みを整備中。
  • SNSを活用して人材募集につなげる取組も開始。
成果
  • 子どもを理由に急に欠勤せざるを得ない場合も業務に参加できることで、周囲の理解が得られ、「大変な時はお互い様」という雰囲気ができてきた。
  • 子育てを理由に退職しなくても良い職場環境、子育て中も現場と関わっていられる職場環境が整いつつある。

担当者からのメッセージ

世の中が日々変わっていくなかで、アドバイザーの方から最新の情報や、いろいろなアイデアをご提案いただけるのは大変ありがたかったです。アドバイスを現場に落とし込んでいく難しさはありますが、それを自分たちで精査して、その上で取り組んでみるということは、大きな一歩になると思います。

取組の目的やきっかけは?

保育業界は深刻な人手不足にあり、当園もまさに教職員の確保に苦労しています。その一方で、資格を持っていて実務経験も積んで実力があるのに、結婚や出産を機に家庭に入り、子育て中で現場に出ていないという方がたくさんおられます。幼稚園や保育所の場合、結婚して出産して子育てを経験するということは仕事を行う上での大きなスキルのひとつになると思います。

そこで、人材の定着と確保のために、結婚や出産で辞めなくても大丈夫な職場環境、子育て中も現場と関わっていられる職場環境をつくりたいと考えていたところ、県でテレワークの導入支援のアドバイザー派遣を行っていると知りアドバイザーの助言を仰ぐこととしました。

どのような取組を行ったか?

まず、始めにアドバイザーの方に当園の状態を詳しく見ていただき、テレワークを導入できるかどうかを見ていただきました。そこで、幼稚園と自宅をオンラインでつなぎ、会議に参加してもらえるようにしました。小さいお子さんがいる場合やお子さんの急な体調不良により出勤できなくなった場合でも、オンラインで会議に参加できるようになりました。

また、幼稚園の仕事の基本は現場となりますが、園便りや学年便りの制作、日案・週案・月案といった指導計画の立案など、在宅でできる作業を無理のない範囲で手伝ってもらうことができないか検討しています。ほかにも慢性的な人手不足を回避するために、インスタグラムなどのSNSを活用して情報発信し、人材確保につなげるというご提案もいただき、そちらについてもトライし始めているところです。

支援の成果と社内の反響

子育て中の教職員にテレワークで仕事に参加してもらうというプランはもともと持っていたのですが、その一方で幼稚園は現場ありきの職場なのでテレワークは馴染まないのではないかという懸念もあり、諦めかけたこともありました。そんな時に、このテレワーク支援を受けることができて良い結果につながったと考えています。

今はテレワークの運用を徐々に始めている段階ですが、お子さんが理由で休まざるを得なかった教職員の気持ちの負担は軽減できているのではないかと思いますし、テレワークで会議に参加している教職員の少しでも業務に参加しようとしている姿勢が周囲に伝わり、「大変な時はお互い様」という雰囲気も醸成されてきたように思います。

また幼稚園の仕事は、これまでは子育てで現場に出られないなら辞めざるを得ないと考える人が多かったと思いますし、一回離れてしまうと戻りづらいという面もありました。しかし、テレワークでずっと現場とつながっていれば、今の情報も共有でき、しばらく出勤できなくても、戻ってきやすいのではないか、そして、そういう環境が整っていれば、これから結婚して子育てしたいと思っている教職員たちも「ずっとここで仕事をしたい」と思ってもらえるのではないかと考えています。

今後の取組や課題は?

実は、こうした取組を進めている最中に、「認定こども園」の採択を受け、令和7年の秋、当園は幼稚園の機能と保育所の機能を併せ持つ「認定こども園」に移行することになりました。これにより、0歳児や1歳児も通ってくるようになり、朝7時から夜7時まで園を開けておくことになります。当然、教職員の人数も倍近くまで増やさなくてはなりません。その準備にも追われているところです。

認定こども園に移行することで働き方を見直すことになりますので、これを機にテレワークを当園として積極的に活用できるようにしたいと考えています。

これからもテレワークに限らず、現場の教職員の意見や気持ちなども聞きながら、少しでも働きやすい職場にしていきたいと考えています。教職員がいきいき楽しく働いていれば、それは園児たちにも伝わりますし、さらに良い教育や保育につながっていくはずです。そのための環境を整えていくのが、わたしの最も大事な仕事の一つだと思っています。