株式会社金庄
代表者:常務取締役 金子 忠寛様
従業員数:20名
事業内容:製造業
新しい時代に向けて、家業から企業へ
背景 |
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取組内容 |
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成果 |
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担当者からのメッセージ
わたしと同じように事業継承でいずれ会社を継ぐという人たちもたくさんおられるでしょう。何を守り、何を変えるのか。とても難しい問題だと思います。私も悩みました。でも、そんな時は一人で悩まず、とりあえず誰かに相談することをお勧めします。誰かに相談することで新たな視点を持つことができます。わたしの場合、日頃から叔父である専務にいろいろ相談でき、さらに今回外部アドバイザーの方に相談することで、改革に踏み切るという決断ができました。
取組の目的やきっかけは?
当社は1945(昭和20)年に創業し、江戸前の海苔と落花生、お茶の製造販売を行っています。同族経営で父が社長、叔父が専務、わたしが常務を務め、それ以外はパートのスタッフという会社構成になっています。
いずれ、わたしが三代目を継ぐことになると思いますが、80年続いてきた伝統の看板をこれからも守っていきたいと考えています。そのためには、守るところは守り、変えるべきところは変えていかないといけない。働き方改革などを実施し、今の時代に合った会社にしていく必要があると考えました。しかし、働き方改革と言っても、何を目標に何をすべきか悩み、専門家に相談したいと考えて、県が派遣してくれる働きやすい環境づくりアドバイザーに協力をお願いしました。
どのような取組を行ったか?
まず、アドバイザーの方との初回ヒアリングで、会社についての悩みや将来的に会社をどうしたいかという考えをお伝えし、当社の現状を詳しくみていただきました。それを基にした詳細な分析から、当社の強みと弱みが導き出され、将来も会社を継続していくために2つの課題があることがわかりました。ひとつは、当社の主力製品である石焼海苔の原料確保が今後難しくなることから、もう1本新たな事業を考えていくこと、もうひとつは、同族経営を脱却するため、家族以外でキーパーソンとなりうる新たな人材を雇用することでした。また、当社の資料をみていく中で、無駄な支出があることがわかりました。
そこで、まず、その無駄な支出を改善して得た分を活用し、賃金を改定したことで、スタッフに喜んでもらうことができました。次に会社の業務を整理、細分化し、スタッフに担ってもらう業務と、経営層が担う業務の棲み分けを行いました。このことにより、スタッフに担ってもらう業務が明確になったため、その業務を担う新たな人材の採用に取り組んでいきたいと考えています。
また、最近は、スタッフが何を望んでいるのか知りたいと、以前にも増してコミュニケーションをとる機会を増やしました。スタッフの満足度が高まれば、新規人材の採用・定着にもつなげられるのではないかと思っています。
それ以外の取組としては、アドバイザーの方からの勧めで、当社の商品を今まで知らなかった方にも知っていただき、少しでも売り上げを伸ばすために、SNSを使った広告宣伝などもスタートさせています。目標が明確になったことで、現在はその実現に向けて、一歩ずつ取組を進めています。
支援の成果と社内の反響
長い年月をかけて築き上げてきた「金庄」の屋号を次世代に残したい。それは社長、専務、わたしの共通の願いです。では、これから会社をどうしていくかと3人で意見を交わし合うのですが、やはり身内なのでつい言い過ぎてしまい、時には意見が分かれることもありました。
今回、第三者であるアドバイザーの方に客観的な視点で分析をしていただき、当社の現状と今後進んでいくべき方向を提示していただけました。そのアドバイスを、我々3人が納得し、共通認識とすることができました。これが何より大きな成果だと思います。今後、3人で話し合うなかで衝突することもあると思いますが、目標が同じなので、その目標から大きく遠ざかることはないと思っています。
また、支援を受ける前から、スタッフのシフト管理の見直しなどの改善を少しずつ始めていました。それにより、スタッフが休みやすくなり、自主的に考えて行動するなど、少しずつ職場環境に良い変化が見られ始めています。今後、本格的に取組を進めることで、より良い職場づくりを加速させていけるのではないか、と思っています。
今後の取組や課題は?
当社の取組は始まったばかりです。最初は、半信半疑でスタートしましたが、新規事業、新規雇用という明確な目的を掲げ、それに向けた筋道も少し見えてきたことで、今は前向きな気持ちで取り組むことができています。
将来的にはシフト作成をAIで行うことや、工場のオートメーション化などやりたいことが増えてきています。
これまで当社は、家業の延長線上で良しとして、会社の経営を行ってきましたが、これからは、「会社」として経営をしていきたい。そのためには、経営理念も見直しをして、会社としてきちんと成立する、今の時代に合った会社になっていかなければいけないと考えています。