浦田空調工業株式会社
代表者:専務取締役 浦田 裕晶 様
従業員数:14名
事業内容:建設業
デジタライゼーションで会社を変革
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担当者からのメッセージ
テレワークを含めた業務のデジタル化を推進することは、どれだけ結果につなげていけるかが重要です。そのためには、実際にそれを使うことになる社員の意識の改革が大切だと思います。今回のデジタル化にあたっては、社員たちにそれを行う意味や目的をきちんと伝えることを重視し、時間をかけてコミュニケーションを取りながら、段階を踏んで進めていきました。改革を行うにあたっては、社員のみなさんがどうしたら納得してくれるのか、どうしたら動いてくれるのか、それを一番に考えながら進めていくことが大切なのでないかと思います。
取組の目的やきっかけは?
当社は大型の空調設備に使われるダクトの製造と施工を行っています。60年以上続く会社で、年輩の社員が多いこともあり、業務上のコミュニケーション方法が口頭、電話、FAXなどのアナログのままでした。特に口頭での伝達の場合、履歴が残らないので、情報の共有ができなかったり、エラーが起きると言った言わないの議論になり、無駄な時間を費やしてしまうといった課題がありました。
わたし自身、以前勤めていた会社で営業支援ソフトやビジネスチャットツールなどを駆使して、業務の進捗管理や戦略の立案などに役立てていた経験があるので、当社に適したデジタルツールを導入し、まずは「コミュニケーションの見える化」を実現、ひいては業務効率の向上を図るとともに、時代に即した業務スタイルに変えていくことで若手社員の採用にもつなげていきたいと考えました。
どのような取組を行ったか?
業務をデジタル化するといっても、最初から本格的なデジタルツールを導入しても使いこなすのが難しいかもしれないという思いがありました。そこで、わたしが目指すビジョンや当社の現状をアドバイザーの方にお話しし、当社に適したデジタルツールやサービスをご紹介いただきました。数多くご紹介いただいたなかで、我々にもできそうだなと思って導入を決めたのが、無料で始められる手軽なビジネスチャットツールと、自分たちでカスタマイズすることでいろいろなシステムを構築できる業務アプリです。
前者についてはすぐにアカウントを作り、これまでの電話やFAXに替わるコミュニケーションツールとして、社員に提案しました。
後者の業務アプリでは、まずは社員が当事者意識を持って取り組めて、かつ、簡単にできるものからスモールステップで始めるべきという考えから、最初に有給休暇の申請システムを導入。次にそれがある程度浸透した頃に、部材等の注文を行うシステムを導入しました。これまでは口頭で「何々を注文しておいて。」と言うだけで、言った言わないの揉めごとの原因になるケースが多くありました。それをシステム化して履歴を残すことでヒューマンエラーを軽減しようという狙いです。
現在は、技術の継承や教育・研修に役立てるため、当社のベテラン社員の優れた製造技術を動画に収めて、業務アプリから見たい時にすぐ見られるシステムを作成中です。
支援の成果と社内の反響
長年にわたり自分のやり方で仕事をしてきたベテランが多いこともあり、デジタル化に抵抗を覚える社員も少なからずいました。しかし、絶対に会社にとってプラスになるという確信があったので、過去にあった失敗を例にするなどして「このシステムを導入すれば、こうしたトラブルは解消できます。」などと粘り強く説得しました。
今ではすべての社員がデジタルツールを使うようになり、「使ってみると、意外に簡単だね。」という声も聞こえるようになりました。電話やFAXで行っていたコミュニケーションは、ビジネスチャットツールを前提としたコミュニケーションに変わり、情報を共有しながら効率的に業務を進められるようになりました。また、いろいろな面で業務効率が上がったことで、社員の残業時間も減少し、簡単に有給休暇が申請できるようになったことでその取得率も向上しました。こうした職場環境の変化は採用の場でも注目されることとなり、早速その成果が出始めています。
業務のデジタル化は営業面でも役立っています。同業他社のなかには既定の注文用紙に記入しないと注文を受け付けられない場合もあるのですが、当社の場合、図面の余白などに記入し、写真に撮って送ってもらうだけでも注文可能としました。これにより、「楽で助かるよ。」と言ってくださるお客様も増えています。
今回テレワーク支援ということでスタートしましたが、デジタライゼーションという広い観点でご支援いただきました。その結果もっとこういうふうにしたいなど、将来的な視点まで持つことができ、とても感謝しています。
今後の取組や課題は?
今後も業務のデジタル化をさらに推進するとともに、これまで導入したシステムで使いづらい点などがあれば、社員から意見をもらって改善を重ねていこうと思っています。いずれは、わたし以外の社員が業務効率の改善につながるシステムを自主的に作成するようなところまでいけたらいいなと思っています。
わたし自身もアプリについてもっと学習し、我々の業界にピンポイントで刺さるようなニッチなツールを開発して、それを販売するといったことも考えています。アドバイザーの方には、「それができれば、真のDXですね。」と言っていただき、本格的に挑戦しようと思っているところです。
また、テレワークも本格的な導入を目指したいと思っています。我々の業界も人材不足は否めません。今は現場で行っている打ち合わせ等をリモートで行うケースもきっと出てくると思います。その時のために環境を整えておくことは大切だと思っています。
将来的な話になりますが、国内市場は縮小傾向にあることは明らかですので、いずれは海外への事業展開も視野に入れていく必要があると考えます。海外でも付加価値の高いサービスを提供するためには、礎となる業務スタイルをさらに進化させ、DXをはじめとする革新的なシステムの構築を進めていかなくてはならないでしょう。それに向けた準備も考えながら、今後も事業の成長を進めていきたいと思っています。