株式会社アルファ・オイコス

代表者:代表取締役社長 蜂谷真弓
従業員数:148名
事業内容:産業用ヒーター・加熱装置等の開発・製造

エグゼクティブサマリー

企業において実質的に恒常的な労働力となっているのが、契約社員やパートタイムなどの有期契約社員。同社は、2013年4月に施行された、いわゆる「無期転換ルール」にいち早く対応し、社員説明会を開き、社内規定を変更するなどの取り組みを経て、対象者の約7割が、無期労働契約へ転換。現場からは「いつまで働けるのか」といったような不安がなくなったとの声が聞かれ、着実に働く意欲の向上につながっています。

背景
  • 地域に根差した人材採用・育成を進め、社員に長く働いてもらいたいという考えがあった
  • 期間の定めのない社員となってもらう「無期転換ルール」が法律で施行された
取組内容
  • 実際に無期労働契約に転換した社員が対象者の7割にのぼった
  • 転換にあたっては、会社と社員の双方で確認できるよう、書面でのやりとりを徹底した
成果
  • 「いつまで働けるのか」という不安はなくなった、との声が社員から聞かれた
  • 技能を有した社員が長く働いてくれることで、スキルの向上や品質の安定化につながる

担当者の声

有期雇用から無期雇用になっても労働条件や働く環境は変わらないので、社員の方から特別な意見などはありませんでした。無期雇用になることで「いつまで働けるのか」「60歳以降はどうしようか」といったような不安はなくなったとの声を聞きます。そう考えると、70歳まで必よとされて会社で働けることや、その間、万一病気やケガがあった場合にも充分なサポートが受けられることは、とても大切な技能の伝承の面においても有益で、人材育成や生産性の向上にもつながっていくものと思います。そうして幅広い世代が交流することで、お互いを大切な仲間として家族的な雰囲気が感じられる会社になればと思います。

働き改革アドバイザーのコメント

有期契約労働者の無期転換ルールの法制化にともない、勤続年数の長い従業員のうち希望する者を対象に、無期雇用への切り替えを行いました。雇用形態の見直しという、大事な場面であったため、無期転換の手続きの進め方や留意点等について具体的にアドバイスするとともに、昇給ルールに関しても、併せてアドバイスしました。この会社は、今後、働き方改革の動向や外部環境の変化に合わせ、積極的に社員の採用を進め、能力を発揮できる環境づくりや業績への貢献によって処遇される仕組みづくりに向け、さらに検討を進めていきます。

取り組んだ背景やきっかけは?

当社はものづくりの企業として、半導体・医療・機械・科学・環境など、さまざまな産業を支える「熱」に関わる製品をつくっています。会社で働く社員の一人ひとりが貴重なスキルを身につけており、子育て世代からシニア世代まで幅広い年代の皆さんが、会社の貴重な「人財」として勤務しています。地域に根ざした人材採用・育成を進め、創業以来、社員の皆さんには長く安心・安定して勤めていただいております。

現在、日本の労働市場では、契約社員やパートタイムなどの有期契約社員のうち、全体の3割ほどは5年を超えて契約を更新しています。多くの企業では、有期契約社員が戦力として定着化しているのが実情で、企業において実質的に恒常的な労働力となっています。

2013年4月に改正労働契約法が施行され、いわゆる「無期転換ルール」が施行されました。実際は2018年4月以降に契約が5年超える社員から対象になりますが、2013年4月以降に契約が5年超える社員から対象になりますが、2013年4月の改正時点から社内規定の変更や新規規則の作りこみを始め、順次、社員説明会を開くなどして、無期転換ルールについての取り組みを進めてきました。

どの様な取り組みを行ったか?

2013年4月の改正労働契約法の施行後、関連情報の収集や公的機関への相談などをさせていただきながら、社内規程の整備を行いました。無期転換ルール以外でも法改正などがあった際は、まずは社内の運用方法を整えることが、非常に重要と考えています。実際に無期転換権の発生する2018年4月に向けては、働き方改革アドバイザーの方を交えて、社内手続きや社員への説明会など、社員の皆さんに事前に無期転換ルールの内容を知ってもらえるよう取り組みました。そして2018年4月以降、無期転換の申し込みをして無期労働契約者となった方は、無期転換が可能な対象者50名のうち36名で、全体の72%と多くの方々に無期契約への転換を申し込んでいただきました。無期転換の申し込みは法律上、口頭でも有効となりますが、当社では会社と社員が双方で手続きを確認できるよう書面でのやりとりを徹底しました。無期転換の対象となる社員へは当該契約期間内に通知書と申込書を一緒にお渡しし、会社が申込書を受理した時点で受理通知書を社員へお渡しします。書面でのやり取りを徹底することで、社員自身が無期転換の対象となっていることを自覚し、長く安定して働きたいという思いから、多くの社員の皆さんに無期転換を申し込んでいただいたと考えています。

どの様な成果があったか?

今回無期転換を申し込んだ36名の社員の年齢層は50歳代が中心になっています。長く働いていただいている社員の皆さんが、ずっとこの会社で働きたいという考えの表れであり、大変ありがたく思っています。技能を有した方々に長く働いていただくということは、大きな視点で見れば、生産性の向上や品質の安定化につながります。競合他社も多い業界ですので、お客様のご要望に最大限にお応えするために、社員の方々のスキルが磨かれ、安定化することはとても大切なことと考えています。また、社員の皆さんからは「いつまで働けるのか」といったような不安がなくなったとの声が聞かれ、着実に働く意欲の向上につながっています。

今後は?

パートタイムの社員の中には、子育て中の方も在籍しています。職住近接で通勤されている方も多く、無期労働契約へ転換することにより、会社にとっては大事な戦力でありながら、家では子どもを育てる親でもある社員の方々が、ワークライフバランスを実現し、長く安心・安定して働くことができる環境を整えていきます。またお互いが学び合い、協力し合いながら、自分の成長や生きがい、働きがいを実感できる職場づくりを進めていきたいと思います。