株式会社ティーエスケー

代表者:代表取締役社長 竹内一
従業員数:191名
事業内容:総合改修工事業

事例の概要

有効求人倍率がほかの業界よりも高い建設業での優良事例。人材確保が厳しい状況にある業種業界での成功事例の多くの企業の参考になるはずです。特に経営トップの強力な意思表示の下、様々な取り組みが推進されたことは重要なポイントです。

背景
  • 会社として成長し、社会に貢献できる取り組みを増やしたい
  • 社長の代が変わっても一貫したビジョンを持ち続けていた
取組内容
  • 障がい者や女性の積極的な雇用を進めている
  • パソコンの勤怠管理を使って現場の適正な勤務時間の把握を行っている
成果
  • 障がい者は5名を雇用し、長い人で6年目
  • 女性社員比率は業界の中でも高い20%以上

担当者の声

2009年、当時就職活動をしていた時に育休制度について質問したところ、今はないがこれから制度を整えていく、一緒にその制度を作っていく一員になってほしいの回答をいただきました。今はまだない制度でも社員の働く環境をよりよくしていくために考えている会社という印象が強く、入社を希望したことを覚えています。今は私自身、その制度を利用しています。実際に休暇を取得してみて感じたことは、保育園の入所にあたり「育児休業明けで復職できる」ということは、待機児童が多い地域ではとても重要なポイントです。そしてなによりブランクがあってもまた今までの仕事に戻ることができることは私自身安心できますし、感謝しています。

派遣された専門家によるコメント

有効求人倍率がほかの業界よりも高い建設業での優良事例です。人材確保が厳しい状況にある業種業界での成功事例の多くの企業の参考になるはずです。特に経営トップの強力な意思表示の下、様々な取り組みが推進されたことは重要なポイントです。社長メッセージとして「全社的な時間外勤務の削減と推進」を発信されたそうですが、その背景には。法律ができたらやむなく従うという発想ではなく、作業の無駄を省き勝ち残るための経営上の判断があったと伺いました。社長の若かりし頃は24時間働くことが評価された時代だったそうですが、過去の価値観にとらわれず、180度考え方を変え柔軟に対応することが重要と仰っていました。業務の効率化に加え、女性、高齢者、障がい者、外国人等の多様な人材の活用の推進、若手からベテランまでの教育環境の整備など、幅広い取り組みが素晴らしく、今後、益々の発展が期待されます。

取り組んだ背景やきっかけは?

当社は今年で創業75年目の会社です。会社の規模としては、小企業から中企業へと移り変わっている段階と言えるでしょう。しかし、現在よりもさらに成長し、もっと地域や社会に貢献できる取り組みをいろいろと行っていきたいと考えています。現会長である2代目の社長が推し進めていた取り組みを、三代目の社長となる竹内一が引継ぎ、具体的なビジョンとして打ち出しました。私たちがこれから成長していくマイルストーンになるとして、働き方改革に着手することになったのです。

どの様な取り組みを行ったか?

企業としての社会的な責任・人的資源の拡大のための取り組みとして、特に「障がい者の雇用」「高齢者の雇用」「女性の積極的な採用」について、今のようにメディアが盛んに取り上げる前から、当社では推進を行ってきました。また、改修工事という職業柄、業務を工期内に完成させなければならないことも多く、特に納期が迫っている段階では、「勤務時間の適正な管理」がなかなかできていないという課題もありました。それを解決するために、パソコンの勤怠管理を使って現場での労働時間を把握する取り組みを行っています。そして産業医と連携し、社員のストレスチェックなどの導入も始めています。当社では「人材こそ財産」というモットーを掲げており、社員の成長こそが、企業の成長につながると考えています。そのためにも、多様な人材を幅広く採用し、障がい者や女性の雇用には特に力を入れてきました。仕事の能力や環境、条件など、多様な働き方をする社員をどう評価するかは大変重要なポイントです。他の社員も含めた「公正公平な人事評価制度」を確立するには困難もありましたが、何度も検討を重ね、モデルチェンジを行ってきました。

どの様な成果があったか?

●障がい者雇用 障がい者の雇用は、約10年前から取り組んでいます。現在、5名を雇用しています。様々な理由から長く働き続けてもらうのが難しい中、最も長い方で6年目を迎えました。●女性の積極的な雇用 当社の女性社員比率は現在20%以上となっており、建設業の中ではおそらく類を見ない数字だと思います。制度としては、産前・産後休業および育児休暇制度、時短制度を設けています。現在、2名が育児休暇制度を利用中で、復職して時短制度を活用しながら勤務している方が2名います。●勤務時間の適正な管理 長時間労働が美徳とされる業界でしたが、それは私たちが目指す働き方ではないと社長自らがメッセージとして常々伝えることにより、社員の意識は随分と変わりました。さらには、取引先など周りの方々も巻き込んで、時間外に会議を設定しないよう依頼するなど、その意識を外へ拡大することもできています。

今後は?

例えば、車は4輪すべてのタイヤが安定することで進んでいます。どれか1つでもパンクしたり、空気が漏れたりすると安定して進みません。会社も同じで、障がい者を雇用したり、時短社員が増えたりするからといって、会社の生産性が低下してもいいというわけではありません。これまで行ってきた取り組みをさらに良くなるように進めていきながら、お客様のために成長し続ける企業となっていきたいと考えています。